アルファロメオ ジュリア・スーパーの歴史|
実用性と高性能が融合した名セダンの軌跡
1960年代のイタリアで誕生した「ジュリア・スーパー」は、アルファロメオの歴史において特別な存在です。今回はその成り立ちから進化の過程までをご紹介します。
■ ジュリアスーパーの誕生と基本コンセプト
ジュリアシスーパーが誕生したのは1965年。当時としては画期的な空力設計が施されており、Cd値は驚異の0.34(当時の大衆車は0.45〜0.50台)を記録しています。この数値は、当時のスポーツカーでもなかなか到達できないほどの優秀さでした。
その経緯から『風がデザインした車(L’auto disegnata dal vento)』と呼ばれています。
見た目はどこか寸詰まりで四角い車ですが、実はこれが空力を計算され尽くした結果のフォルムなんです。
ジュリアは「実用性」と「高性能」を兼ね備えたモデルとして開発され、これが長年愛され続ける理由のひとつになっています。

■ 『ジュリア・スーパー』の登場(1965年)
1963年にホモロゲーション獲得のための生産された「TIスーパー」のエッセンスを注入したモデルで、
初期型は1965年に登場、排気量は1,570 cc、キャブレターはウェバー40DCOEツインキャブで98馬力/5,500 rpmを発揮。TIスーパーより最高出力を発生する回転域が下げられ、低~中回転域のトルクも増強されて扱いやすさと高性能を両立させていました。
ダッシュボードも一新され、ステアリングホイールもスポーティーなデザインとなり、4輪ディスクブレーキはバキュームサーボ付きとなりました。
■ ジュリアスーパーの変遷|
ジュリア・スーパーは、長い販売期間の中で外観や内装に細かな変更が加えられました。ここでは主な違いをご紹介します。
- 1965(デビュー年)〜1967年
ジュネーブショーで発表される。
外装はシンプルなグリル、内装も質素で、クラシックな雰囲気が特徴です。ステアリングやメーターも比較的簡素でした。 - 1968〜1969年
1968年にはエンジンが102馬力へパワーアップ。後輪サスペンションへのロールバー追加、タイヤサイズ変更(155/15から165/14に)が行われました。メーター形状や内装の意匠がモダンに変更されました。外観は大きな変化はないものの、細部で改良が施される。 - 1970〜1972年
サイドブレーキがダッシュボード下の「アンブレラ型」からセンターコンソール中央の「ステッキ型」に、
ブレーキが2系統となり安全性が向上される。 - 1972〜1974年
車種体系が「スーパー1.3」「スーパー1.6」の2種類に整理される。 - 1974年〜1976年
ヌオーヴァ・スーパーとなり、グリル、内装が変更される。
フロント周り

1965年の初期型:一体型のグリルで横スリットが全面に入っている。

ライトにメッキリングが入り、センターに細い3本スリットに。バンパーが前期より若干太く。

ヌオーヴァスーパー(1974〜):フェイスがリフトされグリルが簡素化された。
ウインカー

1965年の初期型:装飾のある特徴的なウインカー

小ぶりでシンプルなウインカー
内装

シンプルな2眼メーター

ヌオーヴァスーパー(1974〜):メーターが立体的になり、センターコンソール豪華になった。
サイドブレーキ

〜1970年:ハンドル右下に傘型のサイドブレーキ(当時のイタリア車はココにサイドブレーキがあることが標準)

1970年〜:センターコンソールにレバー式のサイドブレーキ
これらの違いによって、同じジュリア・スーパーでも印象が大きく変わります。
■ 現代でも愛され続ける理由
今でも世界中で多くのファンがジュリア・スーパーを所有し、レストアやカスタムを楽しんでいます。
豊富な部品供給と、比較的整備しやすい構造が、旧車にもかかわらず維持しやすい理由です。
また、アルファロメオならではのデザインの美しさと、当時の技術者たちのこだわりが詰まったこのクルマは、単なる旧車ではなく「文化」や「哲学」としても語られる存在です。
まとめ
ジュリア・スーパー1600は、イタリア車らしい美しさと、実用性、そしてスポーツ性能を兼ね備えた名車です。その進化の歴史を知ることで、より一層このクルマの魅力を深く味わえるのではないでしょうか。
次回は、実際にジュリア・スーパーを所有して感じた魅力や注意点などを、オーナー目線でお届けしたいと思います。
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